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工場の電気代削減・節電に効果的な方法を解説

2024年 RENOVATION

工場の電気代削減・節電に効果的な方法を解説

電気代削減
 
工場を始めとした製造業は、生産活動のためにさまざまな機器を使用することや、大規模な施設が多いことから、消費電力が多く、電気代が高くなりやすいです。大規模な工場になると、施設の電気代削減対策の有無で、月々の電気代が数百万円規模で変わることもあります。特に、昨今は電気代の急激な高騰もあり、工場における電気代削減・節電は非常に重要な課題となっています。
 
この記事では、工場の電気代削減や節電に効果的な方法をご紹介します。現在、電気代の削減が課題となっているものの「工場で節電を求められているけど、具体的に何をすれば良いのか?」や「生産効率を落とさずに電気代を削減する方法はある?」といったお悩みを持つ事業者様や担当者様は、ぜひ参考にしてください。
 

今すぐにでも始められる工場の電気代削減対策

資源エネルギー庁が公表している資料によると、一般的な工場の電気使用量の内訳は、生産設備が83%、空調と照明を合わせて17%となっています。つまり、工場の電気代削減を実現するためには、これらの部分から対策する必要があります。
 
ここでは、「生産設備」「空調設備」「照明設備」について、それぞれの節電、電気代削減対策をご紹介します。
 
参照:資源エネルギー庁資料より
 

生産設備の電気代削減について

工場の電気消費量の内、8割以上を生産設備が占めているとされています。この部分の節電が実現できれば、電気代を大幅に削減することが可能です。
 
生産設備の電気代削減対策は、以下のような方法が考えられます。
 

  • 省エネ設備に切り替える
    電化製品は、年々省エネ性能が上がっています。工場で使用するコンプレッサ-やファン、ポンプといった生産設備も同様で、古くなった生産設備を最新のものに切り替えることで生産活動で消費する電力を大幅に削減することが可能です。もちろん、既存設備を省エネ設備に入れ替えする場合、初期投資が必要になりますが、設備によっては電気消費量を50%程度も減らすことができるものもあり、年間で数十~数百万円もの電気代削減効果が得られる場合もあるとされているため、中長期的に見ると大きなコスト削減につながります。
  • 生産設備の無駄をなくす
    工場の節電を考えた時には、生産設備の効率化が非常に重要です。例えば、工場の心臓などとも呼ばれているコンプレッサーは、老朽化などにより空気の漏れ(エアー漏れ)が発生し、余計な電力を消費している施設が多いです。コンプレッサーのエアー漏れは、「ただ空気が漏れているだけだから」と放置されることが多いのですが、この漏れを防ぐだけで、20〜30%の節電が可能と言われています。他にも、ボイラー、温水タンクについて、保温・断熱カバーの設置により熱効率を高めることで、20%程度の節電につながった事例もあります。生産設備の節電は、設備を丸ごと交換する以外にも、より無駄なく運転するという対策で電気代削減が可能です。
  • デマンドコントロールなど、制御機器の導入
    デマンドコントロールは、電気使用量を見える化し、設定した値を超えた場合、事業者に警告する、設備の自動制御を行うという対策です。一般的に、空調や照明の管理のために行われるのですが、生産設備にも設置できるものがあります。デマンドコントロールを導入すれば、稼働の少ない機器の運転を抑えるなど、余計な電気の使用量を減らすことが可能です。この他にも、インバータ-の導入による節電対策なども有効です。

 
生産設備の電気代削減については、工場の稼働時間を効率化するという対策も有効とされています。例えば、早朝や夜間、土日の稼働をストップすれば、それだけ電気の使用量は少なくなります。ただ、単に工場の稼働時間を減らすだけでは、生産性が減少するため、生産ラインの見直しなども必要になります。
 

空調設備の電気代削減について

次は空調設備の電気代削減対策です。工場は、空調効率が悪く、余計な電気を消費している施設が少なくありません。
 
工場の空調設備に関しては、以下のような対策を検討してみましょう。
 

  • フィルター掃除をこまめに行う
    一般住宅のエアコンにも言われますが、小まめにフィルターの掃除を行うことで、エアコンの稼働にかかる電気代を削減できます。エアコンは、フィルターに埃などが溜まると、空気の循環に支障をきたし、運転効率が20%近く下がってしまうとされています。したがって、2週間に1回など、小まめにフィルターの掃除を行えば、冷房運転で約4%、暖房運転で約6%の節電につながると言われています。この他にも、熱交換器(フィン)の掃除や季節ごとのオーバーホールも、空調効率を高めて電気代の削減につながります。
  • ビニールカーテンを設置する
    工場の空調機器にかかる電気代削減では、ビニールカーテンの設置が非常に効果的です。工場は、広い空間であることが空調効率を悪くする要因となっています。そのため、ビニールカーテンを設置して空間を区切る(部屋を細かく分ける)ことで空調効率を高めれば、節電効果を期待できます。他にも、出入口部分にビニールカーテンを設置すれば、人や荷物の出入りにより、外気が流れ込む、保冷・保温効果が低下するといったことを防ぐことができ、空調にかかる電気代を削減できます。
  • 断熱・遮熱塗料を取り入れる
    工場の外壁や屋根に断熱や遮熱効果がある塗装を施すことも、空調効率の改善につながります。例えば、スレート屋根に断熱塗装を施すことで室内の温度上昇を5℃近くも抑えられた事例もあるため、空調効率を高め電気代の削減を実現するには、外壁や屋根の塗装時に、断熱もしくは遮熱効果のある塗料を採用すると良いでしょう。また、夏場の暑さ対策だけなら、屋根面に高純度のアルミシートを設置して遮熱対策をする方法も有効です。
  • 天井断熱を取り入れる
    天井断熱を行い空調効率を改善させることで省エネ効果が得られたり、施設内の温度変化を緩和し、結露の防止やカビの発生抑制などの効果が期待できます。
  • 詳しくはこちらで解説しています:工場・倉庫の天井断熱のポイントと素材を紹介
  • 工場の空調設備の節電は、上記のような対策が有効です。また、これ以外にも、同じ空調設備を長年使用している施設の場合、空調設備そのものを買い替えすることで電気代を大幅に削減することが可能です。電化製品は、年々高機能化が進んでいて、耐用年数近く使用している設備を最新のものに交換するだけで、大きな省エネ効果が得られます。
    なお、エアコンの温度設定については、資源エネルギー庁のwebサイト内で、各設定温度ごとの節約効果などが解説されているので、ぜひ確認してみましょう。

 
参考:省エネポータルサイト
 

照明設備の電気代削減について

工場は、常に照明を必要とする、24時間体制で稼働する施設が多いということから、照明設備の節電も大切です。照明部分の電気代削減対策としては、以下のような対策があります。
 

  • 照明をLEDに交換する
    照明の電気代削減対策では、LED照明の導入が最も有名です。例えば、蛍光灯を使用している施設の場合、LED照明に入れ替えることで消費電力を約50%にできるとされていて、白熱電球の場合は約20%ほどに減らすことが可能です。この他にも、LED照明は、発熱しないため空調効率に影響を与えない、蛍光灯や白熱電球と比較すると寿命が非常に長い点も魅力です。照明設備の電気代削減は、まずLED化することから始めると良いでしょう。
  • 不要な電気は消す
    照明設備の節電では、不要な電気は消す、適切な明るさを確保できるなら照明を間引きするという対策も効果的です。ただ、節電を意識するあまり、業務効率が落ちてしまわないように注意しましょう。当然、電気は消した分だけ節電につながりますので、不要な電気は消すということを従業員全体に徹底させましょう。また、人通りが少ない場所の照明などは、人感センサーなどを導入し、自動でオンオフが切り替わるようにするのもおすすめです。

 

その他の電気代削減対策

工場の電気代削減対策では、施設の中で使用する設備に着目する以外にも、さまざまな対策が存在します。ここでは、その他の電気代削減対策についてもご紹介します。
 

従業員の意識改善

工場の節電に当たっては、そこで働く従業員の協力が必要不可欠です。設備面の節電対策をいくら行ったとしても、それを使用する従業員の節電に対する意識が低ければ、思うような結果は得られません。例えば、照明のLED化を進めたとしても、使っていない部屋や通路の照明をつけっぱなしにしているという状態では、本来の電気代削減効果が得られません。
 
したがって、従業員の節電への意識を変えるためにも、張り紙などをして節電を徹底的に呼びかけるなどの対策を施しましょう。節電に成功した企業の中には、生産工程の効率化や節電アイディアを従業員から募集し、採用された場合に表彰するなどして、従業員に当事者意識を持たせる事に成功した事例もあります。
 

太陽光発電の導入

工場や倉庫などの大型施設では、電気代削減やCO2排出量削減を目的に、太陽光発電設備などの再エネ設備の導入が急速に進んでいます。工場の屋根や、駐車場、遊休地などの空きスペースに太陽光パネルを設置し、発電した電気を工場の生産活動に使用すれば、電力会社からの買電量を少なくすることができるため、大幅な電気代削減が実現します。
 
工場への太陽光発電設備の導入は、多額の初期コストがネックとなり、なかなか導入に踏み切れないという施設も少なくありません。しかし近年では、PPA方式を活用することで、初期費用・管理費用0円で導入することもできるようになっています。
 

進相コンデンサによる力率管理

「力率」とは、供給された電力のうち何%が使用されたかを示すものです。当然、理想は力率が100%となる事ですが、送電線や変圧器など、電気が運ばれる過程で必ずロスが発生します。この電気のロスは無効電力と呼ばれていて、無効電力が多ければ多いほど無駄な電気に費用を支払っていることになります。
 
そこで、この力率を改善するための用いられる対策が「進相コンデンサ」です。進相コンデンサを導入することで、無効電力の発生を減らし、効率よく電気が使用できるようになります。つまり、無駄な電気にお金を支払わなくても良くなるため、電気代削減対策としても有効です。
 

電力会社の乗り換え

最後は、現在契約している電力会社よりも条件の良い電力会社に乗り換えるという方法です。一昔前までは、電気の契約は大手電力会社の一択で、この部分で電気代削減を目指すのは不可能でした。しかし、電力の小売り自由化が開始され、新電力会社と呼ばれる会社と契約し、電気代削減を目指すことができるようになっています。
 
2024年現在は、多数の新電力会社が電力の小売りに参入しており、価格競争が激しくなっています。そのため、従来の電力会社から乗り換えるだけで、月々の電気代が大幅に安くなることもあるとされています。ただ、新電力会社は、電気料金は安くなる可能性があるものの、突然の事業撤退や倒産により契約解除のリスクがある点は注意が必要です。実際に、2022年の燃料価格高騰の際には、新電力会社の倒産や事業撤退、契約解除が相次いで、大きなニュースになったことは皆さんの記憶にも新しいと思います。
 
参考:新電力会社の倒産について
 

まとめ

今回は、工場の運営に欠かすことができない電気代の削減対策について解説しました。工場などの製造施設では、大型の製造機械や、照明や空調設備が常に稼働しているといった理由から、月々の電気代が悩みの種となっている事でしょう。特に、昨今では、電気代の急激な高騰もあり、電気代の負担が大きくなりすぎていることに悩む事業者様が増えています。
 
三和建設では、工場の改修工事に合わせて再エネ設備の導入もサポートしています。お気軽にご相談ください。

この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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