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工場・倉庫の外構と外装の維持保全項目チェックリスト

2025年 RENOVATION

工場・倉庫の外構と外装の維持保全項目チェックリスト

工場・倉庫の外構と外装
 
今回は、工場や倉庫の維持保全項目チェックリスト第二弾として、外構や外装に関わるメンテナンスポイントを紹介します。
 
第一弾では、工場・倉庫における屋根や屋上のメンテナンスポイントを解説しています。
 

外構と外装の維持保全項目について

工場・倉庫において、外構や外装のメンテナンスを怠ってしまうと、施設の外観が悪くなり会社のイメージが損なわれる可能性があるという問題が生じます。さらに、問題が生じる場所によっては、そこで働く従業員の労働災害の発生リスクが高くなる、製品への異物混入リスクが高くなるなど、事業の継続に影を落とす深刻な問題に発展する可能性があります。
 
どのような施設でも、そこに存在するだけでさまざまな場所の劣化が進行してしまいます。したがって、従業員が安心・安全に働けるようにする、製造・保管する製品の品質を維持するという面でも、定期的な点検・メンテナンスを欠かしてはいけません。ここでは、各項目について、点検の頻度やメンテナンスをしなければならない状況、また適切な対応をしなかった時に考えられる問題について解説します。
 

①アスファルト舗装面や車止め

工場や倉庫において、敷地内の交通の安全性や快適性を維持するためには、路面の機能を確保しなければいけません。工場や倉庫は、大型車両が頻繁に行き来する、フォークリフトなどが重量物を載せたまま何度も方向転換するなど、施設内で使用する車両の影響を受け、舗装面のひび割れや陥没、沈下などの問題が発生する場合があります。
 
路面の異常を放置した場合、歩行者の転倒による怪我や車両事故・人身事故、段差を通行した時の振動で荷物が落下する、壊れるなどの被害に発展する可能性があるでしょう。また、駐車場の車止めの固定が外れている場合、フェンスや塀などを破損させる危険もあります。舗装面の沈没は、水たまりができ、害虫の発生を誘引する可能性もあるため、製品の異物混入原因となるなど、工場や倉庫の致命的な問題になりかねません。したがって、以下のようなポイントを日常的に点検し、問題が確認された場合は、適切な対処を行いましょう。
 

点検の目安

 
アスファルトの舗装面や車止めについては、以下のような点について日常的に点検をおこなってください。
 

  • 舗装面の陥没、沈下はないか
  • 舗装面に割れが生じていないか
  • 雨の日に水たまりができていないか
  • 車止めの外れやぐらつきがないか

 

メンテナンスの目安

 
アスファルトの舗装面や車止めに、上記の問題が生じているようであれば、出来るだけ早く補修を行う必要があります。なお、アスファルトの補修は、専門業者による作業をおすすめします。
 

②囲障(フェンスなど)

土地や区画の境界などには、フェンスなどの囲障が設置されます。フェンスは、外部からの不審者の侵入を防止する目的もあるため、常に良好な状態を維持する必要があります。
 
ただ、大型車両が行き来する工場や倉庫では、車両が接触することでフェンスが破損したり、サビの原因となったりする可能性があります。そして、囲障に発生した問題を放置すると、台風の強風により飛散する、なぎ倒されるといった大きな被害に発展する可能性があります。最悪の場合、フェンスなどの倒壊に通行人が巻き込まれるといった大事故の可能性も考えられるでしょう。この他にも、外部からの侵入者を防げなくなるなど、防犯上の問題も考えられます。フェンスなどの囲障についても、以下のような点検・メンテナンスを心がけましょう。
 

点検の目安

 
フェンスなどについては、以下のような点について日常的に点検しましょう。
 

  • 変形していないか
  • 破損している部分はないか
  • 傾いていないか

 

メンテナンスの目安

 
フェンスなどに変形や破損、傾きが生じている場合、施設の美観を損なうだけでなく、台風などの災害時に飛散・倒壊して通行人を巻き込む大事故に発展する恐れがあります。また、部外者の侵入を防げなくなれば、防犯上の大きな弱点になる可能性もあります。したがって、フェンスの変形・破損・傾きなど、異常を確認した時にはすぐに補修を行いましょう。なお、専門性が高い工事となるので、専門業者による作業がおすすめです。
 

③植栽

工場や倉庫の中には、敷地内に植栽を植えている施設が多いはずです。樹木や草木を配植すれば、美的かつ機能的な空間を構築することができます。
 
しかし、樹木や草木は、適切な管理を行わなければ、逆に美観を損なう要因となったり、害虫の発生原因となることがあります。したがって、工場・倉庫内の植栽については、以下の点検とメンテナンスを意識しましょう。
 

点検の目安

 
樹木や草木は、水やりなどの管理を行わなければ、枯れてしまう可能性があります。日常的に以下の点について点検をおこないましょう。
 

  • 樹木類が枯れていないか
  • 雑草が繁殖していれば除草作業の実施

 

メンテナンスの目安

 
施設内の植栽が枯れる、雑草が繁殖するという状況は美観を損なう原因となります。したがって、散水や害虫駆除、草取りなどの手入れを欠かさないようにしましょう。また、落ち葉の清掃なども同様に、適切に行いましょう。
 

④グレーチング(側溝)

グレーチングは、排水路にかけられている格子状の蓋を指しています。グレーチングの基本的な機能は、速やかな排水を促すために、水だけが流れるようにすることです。排水路にグレーチングをかけることで、排水機能を生かしたまま人や大きなモノの落下を防ぐことができます。溝にフタをすることで、車両なども通過しやすくなります。
 
ただ、落ち葉や小さなゴミなどを完全に除去することは難しく、排水路の中に落ち、排水不良の原因になることがあります。そして、ゲリラ豪雨などの大雨の際には、オーバーフローをして周辺が冠水する…といった問題に発展する可能性があります。また、側溝にかけているグレーチングが破損していた場合、歩行者が踏み外して転倒し怪我をする危険なども生じます。グレーチングに関しては、以下のような点について、点検とメンテナンスを行ってください。
 

点検の目安

 
周囲に樹木がある、山の近くに施設があるなどといった場合、落ち葉が側溝内にたまる可能性があります。したがって、問題が発生する前にお手入れができるよう、以下のような点について日常的に点検しましょう。
 

  • 落ち葉やゴミで排水口や会所桝がつまっていないか
  • グレーチングが変形していないか
  • グレーチングにがたつきがないか

 

メンテナンスの目安

 
落ち葉やゴミ、泥などにより排水に問題が生じている場合、落ち葉・ゴミを除去してください。なお、グレーチングそのものが変形している場合は、交換が必要です。
 
なお、排水路には、コンクリート製の蓋が採用されている場合もあります。この場合、大型車両の走行が原因で、フタに割れや欠けが生じてしまうことが考えられます。コンクリート蓋を採用している場合は、蓋の状態を小まめに確認し、転倒の恐れがある割れ・欠けが生じている場合、交換しましょう。
 

⑤衝突防止ポール(バリカー)

バリカーは、車両の侵入、衝突を防止する、通行制限などに使用される設備です。工場や倉庫などの大規模施設では、さまざまな場所にこのバリカーが設置されているはずです。
 
バリカーは、適切なメンテナンスを怠った場合、開閉不良などの問題が発生し、適切な運用ができなくなります。また、車両の侵入防止などを目的に設置する設備なので、誤って車両がバリカーにぶつかり変形するといった破損も珍しくありません。バリカーは、部外者の侵入防止など、防犯上の設備でもあるため、以下のような点検とメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
 

点検の目安

 
バリカーは、一カ月に一回程度の頻度で、以下のような問題が生じていないか点検をおこなってください。
 

  • スムーズに開閉できるか
  • 変形などの破損はないか

 

メンテナンスの目安

 
動作確認の結果、何らかの不良が生じている場合、お手入れが必要です。例えば、部品の脱落であれば該当部分を修理する、大きな破損がある場合は、設備全体の交換が必要になります。バリカーの交換などについては、専門業者による作業をおすすめします。
 
なお、工場や倉庫の正門には、アコーディオン式の門扉が設置されている場合が多いです。門扉は、部外者の侵入を防ぐための防犯上の設備なので、バリカー同様、部品の脱落や破損について一カ月に一回程度は点検する必要があります。点検の結果、破損や不良を確認したら設備の交換などの対処が必要です。
 

⑥外壁(ALC+塗装)

 
ALC外壁は、セメントや生石灰、アルミニウム粉末などを主成分として、高温高圧蒸気養生によって作られた軽量気泡コンクリート(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)を板状に成型した外壁材です。断熱性、遮音性、耐水性に優れているという特徴を持つため、工場や倉庫などの外壁としてよく採用されます。
たた、どのような建物でも、外壁は日射や風雨など、外的要因の影響を受けやすい場所となるため、劣化の進行も早いです。外壁のメンテナンスを怠った場合、以下のようなさまざまな問題に発展します。
 

  • 塗装の色あせや剥がれにより美観を損なう
  • シールの劣化(切れや脱落)により雨漏りが発生する
  • 塗装の劣化によりALC素材まで劣化、破損する

 
外壁の劣化の放置は、建物そのものの寿命を縮める要因になりかねないので、適切な点検とメンテナンスを怠らないようにしましょう。
 

点検の目安

 
外壁は、5~10年を目安に以下のような部分について点検をおこなう必要があります。
 

  • 塗装の浮きや剥がれなどが生じていないか
  • 外壁表面に汚れが付着していないか
  • シーリングに切れや脱落は生じていないか

 
外壁塗装は、色あせなどが目立ってきたと感じたら、再塗装のタイミングが近づいていると考えなければいけません。塗膜の浮きや剥がれが生じている状態は、既に塗装の効果が切れている状態といえ、外壁材そのものに損傷が拡大している可能性が高いです。
 

メンテナンスの目安

 
外壁のお手入れが必要と考えなければならないサインは、異常が確認できた時と言えます。
 

  • 外壁に汚れが⇒汚れの清掃
  • 塗膜の浮きや剥がれが⇒再塗装
  • シールの割れ・欠損が⇒シーリングのやり替え

 
外壁のメンテナンスは、専門性が高い作業となるので、専門業者による作業がおすすめです。
 

⑦外壁(金属系材料)

 
工場や倉庫では、外壁材としてガルバリウム鋼板など、金属系の材料が採用されるケースが増えています。金属系材料は、軽量で建物の耐震性に好影響を与える、雨水の侵入を防止し、耐久性・断熱性に優れている点がメリットです。
 
ただ、外壁材として採用される金属系材料は、あくまでも「サビに強い」という特徴があるだけで、「サビないわけではない」という点に注意が必要です。適切なメンテナンスを行わなければ、サビの発生により美観を損なう、さらにサビが進行すると穴あきなどによって雨漏りの原因となるなど、大きな問題に発展します。したがって、以下のような点検とメンテナンスが必要です。
 

点検の目安

 
外壁材として金属系材料を採用している場合、5年ごとの点検が目安となります。以下の点についてしっかりと点検をおこなう必要があります。
 

  • 塗膜の劣化はないか
  • 外壁材にサビが生じていないか

 
※金属系材料にも種類があり、採用している製品によっては点検頻度が早くなります。
 

メンテナンスの目安

 
点検の結果、外壁材に異常が確認されたときにはお手入れが必要です。
 

  • 外壁の汚れ⇒塗装
  • サビなど外壁材の劣化⇒塗装

 
外壁のメンテナンスは、高所での作業など、危険を伴う場面が多々あるため、専門業者による作業がおすすめです。また、金属系外壁材は、10年ごとの改修がおすすめです。
 

⑧シャッター・オーバースライダー

 
シャッター・オーバースライダーは、防犯や防火を目的として設置する設備です。ただ、メンテナンスを放置すると、サビなどが原因となり開閉不良などの問題が生じる可能性があります。
 
シャッター・オーバースライダーの点検・メンテナンスは、以下の点に注意しましょう。
 

点検の目安

 
電動式の製品は、3年ごとに電池の点検をおこなわなければいけません。それ以外の部分に関しては、1年ごとの点検が目安となります。
 

  • 安全装置の電池が切れていないか(電動シャッターの場合)
  • スラットのズレ、こすれがないか
  • 腐食している箇所がないか
  • 作動時に異音が生じていないか

 

メンテナンスの目安

 
点検時に、異常が確認された場合、以下のようなメンテナンスが必要です。
 

  • 安全装置の電池が切れている場合、電池の交換をする
  • スラットの寄り戻し
  • 不具合が生じている箇所について補修を行う

 
シャッター・オーバースライダーの補修に関しては、専門業者による作業がおすすめです。
 

⑨ドッグシェルター

 
ドッグシェルターは、倉庫・工場の搬入口とトラックやコンテナーとを隙間なく密着させるための設備です。ドッグシェルターにより、空気の流出入や埃、害虫の侵入を防ぐことができます。
 
工場・倉庫の安全な稼動には非常に重要な設備で、メンテナンスを怠った場合、施設内に虫の侵入を許してしまう原因となります。この他、建物の破損原因ともなるので、点検、メンテナンスは欠かせません。
 

点検の目安

 
ドッグシェルターは、一カ月に一回など、普段から小まめに点検をおこなっていかなければいけません。
 

  • ヘッドパッド・サイドパッドに劣化や破損が無いか
  • カーテンに裂け目は無いか

 

メンテナンスの目安

 
点検の結果、ドッグシェルターに何らかの問題が生じている場合、早急に対処が必要です。例えば、部品の欠落があるなら部品交換を行ってもらうなど、適切な修理対応を行いましょう。なお、ドッグシェルターの修理は、専門業者による作業がおすすめです。
 

まとめ

今回は、工場や倉庫の点検・メンテナンスについて、外構や外装部分の維持保全項目をご紹介しました。
 
工場や倉庫について、常に良好な状態を維持していくためには、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせません。特に、外構や外装部分に関しては、その他の部分と比較しても、劣化や損傷リスクが高いと言えるため、日常的に点検する癖をつけておくことが非常に重要です。
 
工場や倉庫などの施設は、敷地内を大型車両やフォークリフトなどの特殊車両が頻繁に行き来します。車両の通行量が多くなれば、舗装面の劣化、損傷リスクが高くなると考えられるでしょう。記事内では、工場・倉庫の外構や外装について、主なチェックポイントを紹介しているので、従業員が安全に働ける環境を維持するためにも、日々の業務の中で注目するようにしましょう。
 
予防保全にかかるコストをお知りになりたい方は三和建設にご相談下さい。
 
又、三和建設では「ファシリティマネジメント業務」として、建築技術者による建物や外構の点検や保守メンテナンスのサービスも行っておりますので、今回ご紹介しました維持保全でお悩みの方はご相談下さい。

この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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