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工場・倉庫の屋根メンテナンスについて。定期的なメンテナンスが必要な理由とは?

2021年 RENOVATION

工場・倉庫の屋根メンテナンスについて。定期的なメンテナンスが必要な理由とは?

どのような建物であっても、そこに存在するだけで徐々に劣化が進行します。一般住宅はもちろん、非常に頑丈な作りになっている工場や倉庫であっても、時間の経過とともに新しかった屋根が劣化し、いずれ寿命を迎えると考えておかなければいけません。工場や倉庫などでは、波型スレート屋根や折半屋根が採用されることが多いのですが、それぞれの耐用年数は、前者が25年程度、後者が20~30年程度と言われています。

ただし、この耐用年数に関しては、必要なメンテナンスを適切なタイミングで行っていた…ということが大前提なのですが、その事実を見落としてしまっている施設が意外に多いです。工場や倉庫などの営業用施設では、設備投資や人件費など、さまざまな運営コストがかかってしまうことから、建物自体のメンテナンスに関して「破損してから取り換えたら良い」という考えのもと、本来メンテナンスが必要な時期になっていても、それが先延ばしにされてしまうということが多いように思えます。しかし、適切な建物のメンテナンスを行っていない場合、本来屋根が持っている機能を発揮することができず、建物自体の寿命まで縮める結果になると考えましょう。

どのような建物であっても、良い状態を長持ちさせることを考えると、定期的なメンテナンスをすることが理想です。この記事では、工場や倉庫などの屋根に関して、計画的にメンテナンスを行っていくことのメリットをご紹介します。

 

工場や倉庫の屋根にメンテナンスが必要な理由

それでは、工場や倉庫などの屋根について、適切なタイミングでメンテナンスが必要である理由をご紹介していきましょう。冒頭でご紹介したように、工場や倉庫などでは、以下のような考えのもと、建物のメンテナンスが先延ばしにされてしまっていることが多いです。

  • 耐用年数が決まっているのだし、それまで何もしなくても良いのでは
  • 他の部分にもコストがかかるし、屋根は何か問題があってから修理すれば良いのではないか

特に、工場や倉庫は、建物の規模が非常に大きいことから、屋根がどのような状態になっているのかを日常的に確認することができないという点も大きく、下から見上げただけでは、屋根の状態など確認出来ず、雨漏りなどが無ければ「屋根に問題はない」と考える施設が多いのが現状です。
しかし、特に問題が無いように見える屋根であっても、定期的なメンテナンスをするのが望ましいと考えてください。ここではその理由を簡単にご紹介しておきます。

 

雨漏りを未然に防げる

工場や倉庫は、顧客の大切な商品を製造・保管する場所です。このような施設で雨漏りが発生すると、顧客の商品が濡れる、製造に影響をもたらす等、多額の損害が生じます。さらに、会社の信用問題にも発展することになるでしょう。

定期的に屋根のメンテナンスを行い、良い状態の屋根を維持するということは、雨漏りを未然に防ぐことができるという大きなメリットがあります。雨漏りは、屋根材を固定しているボルト周りの小さな劣化などから突然生じてしまうこともあります。また、台風や地震などの自然災害が多い日本では、いつ災害が発生しても、それに耐えられるだけの強度を常に保っていなければなりません。

定期的に屋根の点検を行い、その都度、必要なメンテナンスを行えば、屋根に生じている小さな劣化から雨漏りを未然に防ぐことができます。

 

建物の見た目や価値を維持できる

築年数が経過した工場や倉庫では、塗装の劣化などをそのまま放置して、屋根が錆び付いている、カビやコケが繁殖し放題になっているなど、見た目の印象が非常に悪くなっているものも少なくありません。たとえ、雨漏りなどの目に見える被害が生じていなかったとしても、建物自体の印象が悪くなれば会社の印象にも悪影響を与えてしまう危険があります。

定期的にメンテナンスを行えば、劣化し始めた屋根を新品のように新しくすることができますし、常に清潔で綺麗な外観イメージを保つことができます。
さらに、屋根のメンテナンスが行き届いていれば、建物内部に水が侵入してしまうこともなくなりますし、その他の部分も劣化しにくくなります。外観も建物内部の劣化も少ない状態を維持できれば、建物の価値が維持できるというメリットも得られます。

 

従業員のモチベーション向上が期待できる

最後は、工場や倉庫で働く従業員のモチベーション向上というメリットです。毎日出勤する場所について、屋根が錆で汚く古く見える施設と、メンテナンスが行き届いていて綺麗な建物であれば、どちらが従業員のやる気を引き出すことができると思いますか?当然、誰もが綺麗な建物で働きたいと考えるはずです。

工場や倉庫において、定期的にメンテナンスを行って、良い状態の建物を保つということは、そこで働く従業員のモチベーションにまで関係すると考えましょう。綺麗な建物であれば、周辺の住民にも良い印象を与えますし、従業員は自信を持って「〇〇で働いている!」ということができます。当然、会社への愛着も湧いてきますので、従業員の定着率にも繋がります。

 

メンテナンスのタイミングとその方法

ここまでの説明で、工場や倉庫は定期的な屋根のメンテナンスが必要だということが分かっていただけたと思います。定期的に屋根メンテナンスを行っておけば、上述のようなメリットが得られるのですが、逆に言えば、メンテナンスを怠ると、「雨漏りの危険がある」「建物の価値を下げてしまう」「従業員のやる気を下げてしまう」など、さまざまなデメリットが存在します。

それでは、具体的に工場や倉庫の屋根について、どのような種類のメンテナンスをどのタイミングで行うべきなのでしょうか?ここでは、工場や倉庫における屋根メンテナンスの手法やタイミングについて簡単に解説します。

 

塗装メンテナンス

一つ目は『屋根塗装メンテナンス』です。名称から分かるように、屋根表面に施されている塗装の劣化にあわせて、もう一度塗料を塗りなおすというメンテナンスです。屋根の機能に関しては、スレートや金属屋根材など、屋根材そのものが持っていると考えている方が多いですが、基本的に表面に施されている塗膜の効果で防水などの機能を得ています。つまり、表面塗装が劣化して、効果がなくなってしまうと、スレート材が水を吸収するようになり、湿潤・乾燥を繰り返すことで亀裂が発生、カビやコケが表面に繁殖してしまうようになります。金属屋根に関しても、錆びが生じます。

このようなことを防ぐために、定期的な塗装メンテナンスが必要になります。塗装のタイミングは、塗料の耐用年数によって異なります。現在最も一般的な塗料となっているのはシリコン塗料と呼ばれるタイプです。このシリコン塗料を採用していれば、10年程度に一度の頻度で再塗装が必要です。最近では、塗料に遮熱や断熱、セルフクリーニング機能を持たせたような機能性塗料が登場していますが、こういった高機能な塗料の中には、耐用年数が15年以上のものも存在します。どちらにせよ、既存塗料の耐用年数を参考に、再塗装を行いましょう。

 

カバー工法

カバー工法は、既存屋根の上に新たな屋根材を葺くという工法です。施工後は、屋根が二重屋根の状態になりますので『重ね葺き工法』とも呼ばれます。カバー工法によるメンテナンスは、既存屋根を撤去する必要がないため、撤去工事や廃材の処分費などが発生せず、葺き替えと比較すればメンテナンスコストを大幅に削減することができます。また、工期も短くすることができます。なお、築年数がかなり経過している古い建物で、波型スレートを採用している場合、スレート材にアスベストが含まれている可能性もあります。このような場合、カバー工法によるメンテナンスであれば、アスベストを一時的に封じ込めることができ、アスベストの廃棄にかかるコストを削減することができます。(将来的にはアスベストの処分費はかかります。)

カバー工法によるメンテナンスのタイミングは、2回目の塗装のタイミングにカバー工法を選択するのが良いと言われています。カバー工法は、もともとスレート屋根のリフォーム手法として考案された工法で、工場や倉庫では波型スレート屋根のメンテナンスで良く採用されています。上述したように、波型スレートは25年程度が耐用年数となりますので、2回目も塗装メンテナンスを選んだ場合、せっかく塗装したのに、2回目の塗膜の寿命が来る前に屋根材が寿命を迎えてしまうということも考えられます。したがって、近年では、1回目に耐用年数の長い機能性塗料で塗装メンテナンスを行い、2回目の塗装のタイミング(築25年前後)でカバー工法によるメンテナンスを行うといったリフォームを選択する場合が多いです。

なお、カバー工法によるメンテナンスを行えば、二重屋根の状態になりますので、屋根部分の断熱性、遮音性が高まるというメリットも得られます。

 

葺き替え工事

最後は、葺き替え工事と呼ばれるメンテナンスです。葺き替え工事は、古くなった既存屋根を撤去し、新しく屋根を葺いていくという手法になります。

既に屋根材の寿命を迎えてしまっているという場合や、メンテナンスを怠ってしまった結果、耐用年数前なのに著しく屋根の状態が悪くなっている場合に選択される手法です。葺き替え工事は、屋根メンテナンスの中でも最も大掛かりな工事となってしまい、施工にかかるコストも高額です。さらに、いったん屋根を取り除いてから新たな屋根を葺くという工法ですので、場合によっては生産活動を止めなくてはいけなくなる場合もあります。
どのような建物でも、いずれ葺き替えが必要になるのですが、そのタイミングをできるだけ遅らせるためにも、適切なタイミングで塗装やカバー工法によるメンテナンスを行うことが大切です。

 

まとめ

今回は、工場や倉庫について、なぜ定期的な屋根メンテナンスが必要なのかについて解説してきました。どのような建物であっても、そこに存在するだけで、徐々に劣化しますので、屋根や外壁のメンテナンスを行わなければいけません。外壁に関しては、出勤時に目に入る部分になりますので、劣化状況を従業員でも把握できるということから、適切なタイミングでメンテナンスしていくことはそこまで難しくありません。

しかし屋根に関しては、高所のため、普段から従業員がその状態を把握しておくことは不可能でしょう。したがって、雨漏りなどを発生させないためには、定期的に専門業者に点検してもらい、適切なメンテナンスを提案してもらうという体制を作っておくのがオススメです。

 

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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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