食品工場・倉庫建設設計施工の三和建設株式会社

INFORMATION

お役立ち情報

工場・倉庫の用途変更を考えた際に確認申請が必要な変更内容とは

2024年 RENOVATION

工場・倉庫の用途変更を考えた際に確認申請が必要な変更内容とは


 
用途変更とは、空き倉庫を飲食店にする、事務所を保育施設にするといったように、建物の用途を変更する際に必要な手続きのことを指します。基本的に、建物の使用用途を変更する場合は確認申請が必要ですが、いくつかの条件を満たしていると、用途変更の申請が不要となる場合があります。
 
また、用途変更の際の確認申請の取り扱いについては、2019年(令和元年)の建築基準法改正により、確認申請が必要となる建物の面積が「100㎡超」から「200㎡超」に変更されました。建物の用途変更が必要になるケースは少なくありませんが、法的な取り扱いについては、判断ができないというご相談をいただきます。
 
そこで当記事では、建物の用途変更を考えた際の確認申請の取り扱いについて解説します。
 
参考:国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律案」
 

建物の用途変更と確認申請の関係について

建物の用途変更が必要になった際、確認申請が必要かどうかを判断するための基準について解説します。近年では、倉庫を工場として生産機能を持たせたい場合や、空き倉庫などをリノベーションして、飲食店として営業するといったケースも増えており、工場や倉庫などの大きな建物を有効活用する用途変更が増えています。
 
どのようなケースは、確認申請が必要で、どのようなケースは不要なのでしょうか?それぞれの基準について解説します。
 

用途変更で確認申請が必要になる基準

それではまず、建物の用途変更を行う際、確認申請が必要になるケースをご紹介します。建物の用途変更を行う際、確認申請が必要となるのは、特殊建築物の用途となる部分について、面積が200㎡を超える場合です。
 
建築基準法では、建物の用途について、防火上や周辺環境への影響の度合いなどを考慮してさまざまな分類をしています。そして、ホテルや共同住宅、工場や倉庫など、不特定多数の人が利用すると見込まれる用途は、別表第一で定められた特殊建築物に該当します。
 
e-Gov|建築基準法
引用:e-Gov|建築基準法
 
上図の別表第一、(い)欄の特殊建築物については、用途変更で面積が200㎡を超える場合は、確認申請が必要とされています。なお、冒頭でご紹介したように、確認申請が必要な面積については、2019年の法改正により「100㎡超」から「200㎡超」に変更されています。
 
さらに、用途変更における確認申請については、例外が設けられていますので、次項で解説します。
 

類似用途と認められる場合、確認申請が不要

上述したように、特殊建築物に該当する建物の用途変更では、面積が200㎡を超える場合、確認申請が必要とされています。しかし、建築基準法施行令の第百三十七条の17で、「建築物の用途を変更して特殊建築物とする場合に建築主事の確認等を要しない類似の用途」という例外規定も設けられています。
 
分かりやすく置き換えると、用途変更後も、変更前と似たような使い方をするのであれば、例外的に類似用途として認められ確認申請は不要です。
 
なお、類似用途と認められるケースは以下の11のケースです。
 

一 劇場、映画館、演芸場
二 公会堂、集会場
三 診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等
四 ホテル、旅館
五 下宿、寄宿舎
六 博物館、美術館、図書館
七 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
八 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
九 キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー
十 待合、料理店
十一 映画スタジオ、テレビスタジオ

引用:e-Gov|建築基準法施行令
 
なお、類似用途と認められるケースでも、建物がある用途地域によっては確認申請が必要とされているので、その点は注意しましょう。類似用途と用途地域の関係性については、以下のような条文となっています。
 
ただし、第三号若しくは第六号に掲げる用途に供する建築物が第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内にある場合、第七号に掲げる用途に供する建築物が第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域若しくは工業専用地域内にある場合又は第九号に掲げる用途に供する建築物が準住居地域若しくは近隣商業地域内にある場合については、この限りでない。
引用:e-Gov|建築基準法施行令
 
上記の場合は、類似間の用途変更であっても確認申請が必要です。
 

用途変更の例と確認申請の要否について

最後に、具体的な用途変更の事例について、確認申請が必要かどうか、いくつかのパターンをご紹介します。
 

  • 事務所(床面積500平方メートル)のすべてを寄宿舎に用途変更する。⇒確認申請が必要
  • 物品販売業を営む店舗(床面積300平方メートル)のすべてを事務所に用途を変更する。⇒確認申請が不要
  • 寄宿舎(床面積1000平方メートル)のすべてを老人ホームに用途を変更する。⇒確認申請が必要
  • 事務所(3階建て床面積450平方メートル)の一部(1階150平方メートル)を飲食店に用途を変更する。⇒確認申請が不要
  • 倉庫(床面積250平方メートル)のすべてを飲食店に用途を変更する。⇒確認申請が必要
  • 第一種低層住居専用地域にある博物館(500平方メートル)のすべてを図書館に用途変更する。⇒確認申請が必要

 
上記のように、同じような用途変更でも、確認申請の要否が変わります。なお、用途変更における確認申請について、図を用いて解説している自治体の資料があるので、以下の資料も参考にしてください。
 
参考資料:取手市における用途変更の取扱い
 

まとめ

今回は、建物の用途変更に関わる確認申請の要否について解説しました。用途変更に関わる申請は、「倉庫を飲食店に」「居抜き物件を食品工場に」と言ったような、今までの使い方と異なる用途で使用する場合、確認申請が必要になる可能性が高いと考えましょう。ただ、記事内でご紹介したように、ホテルから旅館に変更するなど、変更前後で使い方が変わらない類似用途の場合は、確認申請が不要となります。
 
注意点としては、確認申請が必要でない場合であっても、用途変更後の建築物は、建築基準法及び建築基準関係規定に適合させる必要があります。確認申請が不要だからと言って「何でもあり」というわけではないので、専門家のアドバイスの元、必要な対応を検討しましょう。
 
用途変更をお考えの方は工場・倉庫・オフィスビルなどの施工実績が豊富な三和建設にぜひ相談ください。

この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

前のページへもどる