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工場の結露・湿度対策!結露を発生させないためのポイント

2021年 RENOVATION

工場の結露・湿度対策!結露を発生させないためのポイント

今回は、製品を製造・保管する工場や倉庫における湿度対策についてご紹介します。

日本には四季があり、5月~9月ぐらいにかけては高い気温だけでなく、湿度の高さがさまざまな問題を引き起こします。例えば、高温高湿状態が続くようになる5月の終わりごろになると、テレビの情報番組などで毎朝「熱中症に注意しましょう」などの情報を聞くようになりますし、多くの日本人は「今年も過ごしにくい季節がやってきたな…」と、少し嫌な気持ちになってしまうことでしょう。

しかし、こういった高温・高湿状態というものは、ジメジメした不快感だけでなく、結露やカビなどの発生原因となってしまうなど、工場や倉庫では保管物品への悪影響にも注意しなければならない問題となります。
そこでこの記事では、そもそも工場や倉庫などで湿度対策が必要になる理由や、どういった対策が良いのかについて考えましょう。

工場で結露・湿度対策が重要な理由

まずは、工場や倉庫などの大規模施設において、湿度対策が重要と言われる理由からご紹介します。工場や倉庫は、多くの従業員が働く場所ですので、熱中症などの健康被害から人を守るという視点からも湿度対策が大切です。さらに、湿度が高い状態では、少しの温度変化で水蒸気が水滴に変わり、壁や床など様々な場所で結露が発生します。
湿気や結露は保管物品の品質に悪影響を与えてしまう恐れがあるため、適切な温度管理が重要です。

工場で結露によるトラブルの例

工場や倉庫の結露によるトラブルは以下が挙げられます。
・カビの発生
・ダニや害虫の発生
・建物の劣化の発生
・サビや腐食の発生
・従業員の健康被害
それぞれ詳しく説明します。
 

カビの発生

結露により、工場・倉庫内にカビが発生しやすくなります。カビは保管中の物品や設備に損害を与えるだけでなく、悪臭を発生させ、倉庫内の環境を大きく悪化させる要因となります。
カビの発生
 

ダニや害虫の発生

工場・倉庫内の湿度が上がると、ダニ・ゴキブリなどの害虫が発生しやすくなります。ダニやゴキブリなどの害虫は高温多湿な環境を好むので、一度発生すると卵を産んで増殖するリスクがあります。それを防ぐため、湿度・結露の対策をしっかりしましょう。
ダニや害虫の発生
 

建物の劣化の発生

結露の水を放置すると、建物が劣化しやすくなります。劣化が生じると、雨漏りにまで進行する可能性があります。修繕コストを抑えるために早期の対策が重要といえるでしょう。
建物の劣化の発生
 

錆や腐食の発生

湿度の高い環境ではサビが発生しやすくなります。さらに結露することで建物自体が腐食する恐れもあります。
また、機械設備部品に結露が発生することでサビが生じ、そこから腐食が進行します。設備部品が腐食した場合、交換が必要となるため、早めに湿度・結露を対策に取り組みましょう。
錆や腐食の発生
 

従業員の健康被害

結露は建物や保管されている物品だけでなく、倉庫内で働く人にも悪影響を及ぼします。カビは肺炎の要因となり得るほか、アレルギーを誘発する可能性があります。ダニも同様のリスクを伴います。また、湿度の高い不快な環境は、倉庫作業の効率を大幅に下げる原因となります。
従業員の健康被害
 

工場の結露対策にお悩みの方はこちらの記事も併せてご覧ください。
【工場の結露対策】結露・霜が発生する原因と対策まとめ

 

工場で結露が発生しやすい理由

工場や倉庫などの施設は、下記のような理由から、湿気が溜まりやすく結露が発生しやすい特徴を持っています。一般の建築物と比較すれば、工場や倉庫には以下のような特徴があります。

  • 間仕切りが少なく空間が広い 工場や倉庫は、一区画の面積が広く設計されますので、空調設備の効きが悪くなる傾向にあります
  • 天井が高い 建物内の天井が高いという点も、空調効率が悪くなる傾向にあります。
  • 換気効率が悪い 窓が少ない、保管物品の関係で換気が難しいなど、換気効率が悪い施設が多い

このように、工場や倉庫というものは、大規模な施設である上に構造上空気の循環が難しく、湿気が溜まりやすいという特徴があります。したがって、保管物品の品質維持や従業員が安全で健康に働けるような環境を作るためには、適切な湿度対策が必要になると考えましょう。

 

 

工場での結露対策について

結露対策

それではここからは、工場や倉庫における具体的な結露対策について、いくつかの手法をご紹介します。

 

 

①可能な限り換気を心がける

食品工場などは難しいですが、倉庫などの施設であれば、可能な限り窓を開け、空気を循環させるなど、換気するように心がけましょう。一般住宅でもよく言われますが、換気効率を考えた場合、窓やドアを2か所以上開けて、可能であれば対角線上に窓が開いている状態を作りましょう。空気の通り道を作れば、それだけ換気効率が高くなります。

倉庫や工場などは、その構造によって空気がこもりやすくなってしまうので、空気の流れを作ってあげて、小まめに換気を心がけることが湿度対策に有効です。

 

 

②ストレッチフィルムで製品を守る

倉庫や工場などでは、顧客の大切な製品を保管しています。そして保管物品によっては湿度に弱い物や湿度から守りたい物も存在します。

そこで、湿度から守りたい保管物がある場合は、荷物全体をストレッチフィルムで覆い、フィルムと荷物の間に産業用除湿剤などを封入して保管しておくという対策を行うと良いでしょう。換気が難しい…など、高湿状態でも湿度から保管物を守ることができます。

 

 

③除湿剤・除湿器を利用する

一般住宅などでも採用される手法ですが、倉庫や工場でも除湿剤を設置して、湿度対策を行うという手法は有効です。とはいえ、倉庫や工場は、空間面積が広く、ドラッグストアなどで販売されている家庭用の除湿剤ではあまり効果はありません。したがって、業務用の除湿剤などを用意してください。

除湿器に関しても、工場や倉庫で使用することを想定された業務用のものがありますので、除湿剤では不十分…という場合は、大型の除湿器の導入を検討してください。

 

 

④シーリングファンの導入

シーリングファンは、工場や倉庫での熱中症対策や湿度対策に非常に効果的な設備と言われています。

分かりやすく言うと、天井に取り付ける大型の扇風機の事で、大きな羽根が天井でゆっくりと回転することで、室内の空気が循環するようになり有効な湿度対策となるわけです。なお、シーリングファンメーカーの公式サイトなどでは、天井にシーリングファンを導入し、送風することで、従業員の体感温度が「5℃」も下がると紹介されており、熱中症対策としても非常に有効な設備と言えます。

 

 

⑤結露防止シートを使用する

結露の発生を防ぐには、結露防止シートを使用するのが効果的です。結露は室内外の温度差が原因で発生しますが、窓に貼ることで断熱性を向上させ、その温度差を緩和し、結露の発生を抑えることができます。

 

 

⑥遮熱シートを使用する

遮熱シートは太陽熱を反射または吸収して、建物内への熱侵入を防ぎ、結露対策にも有効です。室内外の温度差を抑えることが結露防止の鍵であり、遮熱シートを使うことで温度差を減らし、結露のリスクを低減できます。

 

工場で場所別の結露対策

ここでは結露の発生しやすい場所別に対策方法を解説します。より効果的な方法を選ぶため、温度計・湿度計で数値を計測して、現状を把握しておきましょう。
 
 

天井の結露対策

天井裏の結露対策は除湿機や送風機、断熱材を設置する方法があります。
除湿機を使用すると、天井裏の水蒸気を減らすことができ、併せて空気を循環させるために送風機を使用する方法も一般的ですが、この方法は時にカビの発生を助長する可能性があります。
また、断熱材は温度の影響を軽減しますが、それだけでは完全な結果を得ることは難しく、ほかの方法と組み合わせるのことがおすすめです。
 
 

床の結露対策

床の結露対策も、換気・空気の循環・除湿が有効です。送風機を使って空気を循環させたり、除湿機を使用しますが、可能な場合は扉を開けて空気を入れ替えて換気をすることも効果的です。特に低いところは湿度が高くなりやすいく、一般的な床材のコンクリートは結露しやすいため、汚れやスリップなどを防ぐためにも床の結露対策は重要です。
 
 

機械の結露対策

機械の結露対策は、機械の種類によって異なりますが、ファンによる空気の循環や換気が行われることが多いです。熱を発する機械や冷えやすい金属製機械など、設備に応じて温度差に対する対策が必要です。また、電気機器では基盤に防湿コーティングすることで、結露による漏電や機械の停止を防ぐこともできます。専門的な知識が必要な場合もありますので、メーカーや購入先に相談しましょう。
 
 

まとめ

今回は、工場や倉庫における湿度対策についてご紹介してきました。高温多湿になる梅雨時期から夏にかけては、湿気によって保管物がさまざまな悪影響を受けてしまう…ということが工場や倉庫の悩みになるでしょう。湿気は、カビの繁殖や結露の発生などを招いてしまう恐れがあり、何の対策もしなければ大切な商品がカビだらけになってしまう…なんてことも考えられます。

この記事でご紹介したように、工場や倉庫などの大規模施設は、そもそも構造的に湿気がこもりやすい特徴がありますので、保管物を守るためには湿度対策が必要不可欠です。

 

三和建設では、工場・倉庫の結露・湿度対策のための断熱改修工事をはじめ塗床更新など改修工事を対応しております。お気軽にご相談ください。

 

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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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