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倉庫の防虫防鼠対策!すぐできることから改修のポイントまでを解説

2023年 RENOVATION

倉庫の防虫防鼠対策!すぐできることから改修のポイントまでを解説

倉庫の防虫防鼠対策!すぐできることから改修のポイントまでを解説

 

さまざまな食品を製造する食品工場はもちろんですが、EC市場の拡大により食品の物流が増加している昨今では、HACCPによる衛生管理が義務化された影響もあり、食品を保管する倉庫でも、高い衛生基準を求める荷主が増えています。そのため、食品工場など高度な衛生管理施設の実績が多い三和建設にも、食品を保管する倉庫での防虫・防鼠対策に関するご相談が多くなっています。

そこで当記事では、食品を保管する倉庫における、防虫・防鼠について注意すべきポイントや取り入れるべき対策を紹介します。

 

食品倉庫における防虫・防鼠の基本

それではまず、食品の保管を行う倉庫や物流センターにおける防虫・防鼠対策のポイントについて簡単に解説します。

 

害虫やネズミの発生源を特定する

食品を保管する倉庫や物流センターで害虫やネズミが発生する場合、倉庫特有の発生原因があります。例えば、害虫やネズミが外から侵入する場合と、内部発生する場合では、次にような原因が考えられます。

 

害虫やネズミが外から侵入する場合

 

  • 保管物の搬入・搬出口や人の出入り口など、外部とつながっている場所から害虫やネズミが侵入する

  • 搬入物の梱包材(段ボールなど)に害虫そのものや害虫の卵が付着していて内部に持ち込まれる

  • 海外からの輸入品に外来生物が付着していて内部に持ち込まれる

 

内部に発生源がある場合

 

  • 持ち込まれた害虫などが保管されている食品を食べ、倉庫内で繁殖を繰り返す

  • 倉庫内にある段ボールの板紙(波形の隙間など)が害虫の巣となり、繁殖を繰り返す

  • 屋根裏など、人の往来が少ない場所にネズミが棲みつき、倉庫内で繁殖する

上記の害虫やネズミの発生源については、あくまでも一例です。食品を保管している倉庫や物流センターで、害虫やネズミの発生を防ぐには、発生状況を把握したうえ、それぞれの倉庫の構造や特徴、保管している商品の種類などから、発生原因を突き止める必要があります。さらに、害虫などの発生原因を突き止めるのと並行して、発生する可能性がある生物の同定(種類の特定)も行いましょう。例えば、ゴキブリやハエと一口に言っても、種類によって生態が異なるため、効果的な発生防止対策や駆除方法が異なります。

 

また、倉庫や工場で発生しやすい害虫にはハエ、ゴキブリ、蚊などがありますが、カメムシも注意が必要な害虫の一つです。カメムシが発生すると、倉庫の壁や床に汚れを残すことがあります。カメムシの侵入経路としては、以下の場所が考えられます。

  • 網戸や窓サッシ、ドアの隙間
  • 換気口、換気扇などの隙間
  • エアコンのドレンホースや配管穴

カメムシは4~6月頃に産卵し、この時期から秋にかけて活動が活発になるため、重点的に対策を行うほうが良いでしょう。

 

定期的に防除対策(予防と駆除)を行う

食品を取り扱う倉庫や物流センターでの防虫・防鼠対策は、害虫やネズミが発生した時に速やかに駆除して終わりとするのではなく、普段から発生しないように、定期的な予防を継続していくことが大切です。

なぜなら、害虫やネズミが一度侵入すると、施設内に住み着いて瞬く間に繁殖します。害虫・ネズミが発生していないかの調査を定期的に行っていない場合、対応が後手になり次のような問題が発生する可能性があります。

 

  • 保管している食品への異物混入

  • 保管している食品への病原菌の付着

  • 保管している食品が食い荒らされてダメになる

  • 施設の配線などが破壊され、保管温度を逸脱する恐れがある

 

施設内での害虫やネズミの発生について、発見が遅れて後手に回ってしまうと、保管している食品がダメになるだけでなく、劣化した食品が消費者のもとに届いて大きな食品事故に発展するなど、被害が甚大になるリスクがあります。

さらに、ネズミや害虫は繁殖力が非常に高いため、繁殖してからでは駆除が大掛かりになり、経済的な損失がますます大きくなります。したがって、食品を保管する倉庫などは、「害虫・ネズミが発生してから対応する」という考えではなく、害虫・ネズミの発生・侵入しない施設づくりを行い、さらに施設内での発生が無いか定期的に調査(生息調査)し、万が一発生を確認した時には速やかに駆除を行うという予防的な対策が重要です。

 

食品倉庫での具体的な防虫・防鼠対策について

ここからは、防虫・防鼠対策を行いたいと考えた時、具体的にどのような方法があるのか、いくつかの方法をご紹介します。

 

比較的容易に取り入れられる防虫・防鼠対策

倉庫での防虫・防鼠対策の中には、今すぐでも始められる簡単な対策も存在します。次のような対策をまだ行っていない場合、取り入れることを検討しましょう。

 

  • 殺虫剤・防虫剤
    倉庫周辺に緑地帯などがある場合、殺虫剤や防虫剤を使用して、建物周りでの虫の発生を抑える対策が有効です。また、屋内に侵入した虫について、速やかに殺虫剤で対処する、屋内に防虫剤を散布・塗布することで、害虫の発生を抑えることができます。

 

  • ライトトラップによる防虫
    虫が好む「光」や「臭い」を活用し、倉庫の中に害虫が侵入しないようにする対策も多くの施設で取り入れられています。コンビニなどでも見かける方法ですが、出入口から少し離れた位置にライトトラップや電撃殺虫器を設置し、そこに虫を誘引することで、従業員出入り口などに集まる虫の数を減らすという方法が有効です。

 

  • 5Sの徹底など従業員の意識改革
    施設での防虫・防鼠対策で最も重要になるのが、5Sのようなソフト面での従業員に対する意識づけです。どれだけ防虫設備を導入したとしても、従業員自体の防虫意識が低ければ、決められた対策を守らず、虫やネズミの侵入・定着を防ぐことができないでしょう。5Sの徹底などは、今すぐにでも始められるうえ、非常に効果的な対策になり得ますのでおすすめです。

 

「給排気」の見直し

食品を扱う倉庫での防虫対策では、倉庫内の給排気バランスを調査し室内を陽圧化することで、室外からの害虫の侵入を防ぐという方法があります。

給排気バランスについて、室内への給気が排気よりも多い状態を『陰圧』といい、この状態になっている場合、倉庫の出入り口や建物に生じる隙間などから外気が流れ込んでしまいます。そして、空気の流れと一緒に、小さなゴミやホコリ、害虫などが倉庫内に侵入してくることになります。したがって、倉庫が「陰圧」状態になっている場合は、吸排気バランスを調整し「陽圧」状態になるように対処すべきです。

食品を取り扱う施設で室圧バランスが崩れてしまうと、さまざまなデメリットが考えられるので、専門業者による給排気バランスの調査を受け、給気装置の導入や改善により、倉庫内の陽圧化を図りましょう。

 

建物構造や設備の見直し

害虫やネズミは、ほんの小さな隙間から倉庫内に侵入してきます。したがって、次のような建物構造的な問題の解消や設備の見直しが重要です。

 

  • パイプ、ケーブルなどの導入口の隙間を無くす
    電気・ガス・水道など、パイプやケーブルを外部から建物内部に引き込む際、建物躯体の導入口に隙間が生じ、そこからネズミや害虫が侵入する恐れがあります。したがって、導入口の隙間はパテなどを用いて徹底的になくす必要があります。

 

  • 屋根と壁面の接合部に生じる隙間を無くす
    屋根と壁面の接合部に、わずかでも隙間が生じないよう、徹底して封鎖された作りにしましょう。この部分に隙間が生じると、屋根裏にネズミが侵入し、住み着く恐れがあります。

 

  • 施設の外周部に植栽を作らない
    植栽は、ネズミや害虫が巣をつくり、生息・繁殖するリスクが高くなります。ネズミの中には、木の根元に穴を掘って巣を作る種がありますので、ネズミなどの営巣環境を作らないため、倉庫の外周部には植え込みなどを作らないのがおすすめです。

 

  • 倉庫の出入口にエアーカーテン「エアーフェンス」を設置
    倉庫の出入口にエアーカーテン「エアーフェンス」を設置することで、害虫やネズミの侵入を高速エアーでシャットアウトできます。カメムシのような害虫の付着を防げます。両側からエアーを吹き出して気流を形成するため、人や車、荷物の通過時にデッドスペースができない利点があります。

 

倉庫への害虫やネズミの侵入は、上記のような建物構造の問題が原因となるケースもあります。したがって、万が一倉庫内で害虫やネズミを発見した時には、建物に構造的な問題が生じていないか、専門業者に調査してもらい、必要であれば改修工事を行いましょう。

また、倉庫での防虫・防鼠対策については、設備面の見直しも有効です。例えば、倉庫の照明として蛍光灯を利用しているという場合、LED照明に入れ替えることで防虫対策となります。蛍光灯は、虫が寄りつきやすい紫外線が微量に出ているため、倉庫の敷地内に蛍光灯の照明が設置されていると、それだけで虫を呼び寄せてしまう恐れがあります。LED照明は、虫から見えない波長を発すると言われていますので、虫を誘引する心配が少なくなります。

この他にも、倉庫内への虫の侵入を防止するため、従業員の出入り口や荷物の搬入口などにエアーフェンスなどを導入するという方法も有効です。例えば、次のような製品があります。

メーカーカタログ

引用:メーカーカタログより

 

倉庫などでは、保管物の搬入・搬出口や人の出入り口など、外部とつながっている開口部が害虫やネズミの侵入経路となるケースが多いです。特に、食品を保管する倉庫などでは、搬入・搬出の頻度が高い、フォークリフトなどの車両を使って出入りするといったことが要因となり、害虫やネズミの侵入リスクが非常に高くなります。

左図のエアーフェンスは、出入口の両側に設置された吹出口から中央に向けて強い風を吹き出し、風による壁を作り虫の侵入を防ぐことができます。

エアーを使った防虫対策設備はさまざまな種類がありますので、対策を施さなければならない虫の種類に合わせて、適切な設備の導入を検討しましょう。

 

まとめ

今回は、倉庫における防虫・防鼠対策を解説しました。EC市場でさまざまな食品が取り扱われるようになった現在では、食品の保管需要が年々増加しています。

食品は、商品の品質を保つために温度管理が重要という点が注目されがちですが、それだけでなく、適切な防虫・防鼠対策が必要となります。食品は、人にとって栄養になるだけでなく、虫やネズミなどにとっても繁殖に必要なエサとなります。したがって、適切な防虫・防鼠対策が行われていない場合、保管している食品が害虫やネズミに食い荒らされたり、異物混入の原因となったり、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

この記事内では、倉庫における防虫・防鼠対策をいくつかご紹介していますが、現状の倉庫の構造や保管している食品の種類によって必要となる対策はかなり変わります。食品を保管している倉庫や物流センターまで、自社に必要な防虫・防鼠対策がどのような物なのかを知りたいという企業様は、ぜひ三和建設にお問い合わせください。弊社は、食品工場など高度な衛生管理施設について、豊富な施工実績がありますので、お客様にとって最適な防虫・防鼠対策をご提案いたします。

 
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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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