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工場・倉庫の衛生・品質水準の確保と衛生レベルの高い現場の特徴

2024年 RENOVATION

工場・倉庫の衛生・品質水準の確保と衛生レベルの高い現場の特徴

工場・倉庫の衛生・品質水準
 
さまざまな製品を取り扱う工場や倉庫では、安全な製品を提供するために厳しい衛生管理や品質管理が求められます。
 
製品を製造する工場や保管を担う倉庫に問題が生じ、低品質の製品を提供することになれば、顧客からの信用が低下し、その結果として企業の経営危機に陥る可能性があります。
 
また、近年の傾向としては、製品を保管する倉庫においても一定の衛生管理を求める荷主が増えています。
 
それでは、工場や倉庫で、安定した品質の製品を提供し続けるには、どのような対策が必要でしょうか?工場・倉庫の衛生・品質水準の確保を考えた時には、衛生・品質水準を変動させる因子である「5M+1E」を意識した取り組みが必要とされています。そこで当記事では、工場・倉庫の衛生・品質水準を確保するためのポイントとなる「5M+1E」について解説します。
 

衛生・品質水準を確保するためのポイント

ここでは一般財団法人食品産業センターが公表している資料を参考に、食品を取り扱う施設における衛生・品質水準を確保するためのポイントをご紹介します。食品の衛生・品質水準を確保するための取組については、衛生・品質水準を変動させる因子に着目して、「5M+1E」を基準にして考えると良いとされています。「5M+1E」は、製造業において必要とされるフレームワークのことで、以下の6つの要素を意味しています。
 

  • Man(人): 作業員、技術者、管理者など
  • Machine(機械): 設備、装置、工具など
  • Material(材料): 原材料、部品、中間製品など
  • Method(方法): 作業手順、製造方法、検査方法など
  • Measurement(計測): 品質検査、データ収集、分析など
  • Environment(環境):温度、湿度、気圧など

 
それぞれの要素について、以下で分かりやすく解説します。
 

「Man(人)」について

「Man(人)」は、現場で働く従業員全てを指しています。製造現場で、直接製品の加工に携わる人はもちろん、資材を運ぶ運送業者や商品開発をする研究者、総合的な統括をする管理者など、全ての従業員を指しています。
 
工場や倉庫での業務は、技術が必要な場面が多く、技術力の差による影響が大きいです。たとえ、最新の機械を導入していたとしても、その操作を人が行う場合は、熟練者と新人では、結果が大きく変わります。また、作業に従事する人の体調やモチベーションも、製造の結果に大きな影響を与えます。長時間労働で、人が疲労した状態であれば、正しい判断が難しくなり、ミスを頻発する可能性があるでしょう。慢性的な人手不足も、生産性や製品の品質に悪影響を与えます。
 
人による問題を解決するためには、まず「あるべき姿」を明確にし、現状とどのようなギャップがあるのか抽出して、問題解決のための対策を策定する必要があります。具体的な対策については、以下の資料の「P.153~166」を参考にしてみましょう。
 
参照:衛生・品質水準の確保
 

「Machine(機械)」について

「Machine(機械)」は、設備のことを指しています。ただ、製造などに用いる機械だけでなく、材料を運ぶためのトレーラーなど、業務に関わる全ての設備・道具のことを指しています。
 
機械は、製造の結果に大きな影響を与えます。例えば、古くなった設備を使い続ければ、生産性が低下する、不良品の発生が多くなるなど、生産性と品質の低下、両方を引き起こしてしまいます。また、機械の安全性そのものが低下するため、それを使用する従業員に危険が及ぶ場合もあります。工場や倉庫に設置する機械は、可能な限り作業しやすい動線を意識して配置を決めるなど、導入時から生産性を意識する必要があります。この他、異物混入の原因とならないように、掃除などのメンテナンスを徹底するなど、衛生面にも注意しましょう。
 
なお、近年ではデジタル技術の導入が進んでいるため、セキュリティ対策が非常に重要になっています。この部分の対策が不十分だと、外部から不正アクセスを受け、大切な企業情報が流出するなどの問題に発展する恐れがあります。
 
機械による問題を解決するには、適切なタイミングで最新設備への入れ替えをすることやデジタル意識を改善することが大切です。また、食品を取り扱う施設では、3S(整理・整頓・清掃)を意識した取り組みなどが特に重要になります。なお、機械に関する具体的な対策は、以下の資料の「P.123~143」をご参照ください。
 
参照:衛生・品質水準の確保
 

「Material(材料)」について

材料は、原材料のことを指します。製造に使用する資材だけでなく、製造設備などを動かすための燃料や次工程へと回すための仕掛品など、製造にかかわるすべての材料・消耗品を含んでいます。
 
高品質の製品を作るためには、当然、質の良い原材料を用いる必要があります。品質の低い材料を用いて製造した場合、低品質な製品になるため、耐久性、扱いやすさ、重量、質感など、製品に適した高品質の材料を選ぶ必要があります。
また、材料については、在庫管理が重要なポイントになります。高品質な材料を用意したとしても、管理がずさんだと、保管中に品質が低下する恐れがあります。また、在庫状況が把握できていない場合、生産活動中に材料が不足し、生産がストップする可能性があります。その逆に、過剰在庫を抱えると、倉庫スペースを圧迫する、管理コストがかかるなどの問題が生じます。
 
材料の問題を解決するためには、品質の安定化、在庫管理方法の見直し、在庫状況の見える化などの対策が有効とされています。具体的な手法は、以下の資料の「P.145~151」を確認してください。
 
参照:衛生・品質水準の確保
 

「Method(方法)」について

「Method(方法)」は、作業手順のことを指しています。製品を製造する製造手順を始めとして、指示書の作成方法や設備の操作手順、安全対策など、業務に関連するすべてのやり方や流れを含みます。
 
製品の品質を一定に保つことを考えると、製造方法を統一しなければならないということは誰でも理解できるはずです。従業員各々が、自己流の方法や流れによって製品を製造すれば、作業する人によって製品の品質が変わってしまいます。また、作業が属人化するリスクも高くなり、一部の人しか製造方法が分からず、担当者が急病などで休むと、製造自体がストップするなど、業務に甚大な影響を与える可能性があります。
 
この他にも、トラブルが発生した際の対応策や手順をきちんと作成することも大切です。例えば、設備故障時の代替方法を検討するほか、災害や火災などが発生した時の対処など、安全対策などについても検討しましょう。
 
「方法」による問題を解決するためには、製造方法などの作業手順の統一や誰が見ても分かりやすいマニュアルの作成、指導方法の構築などが重要です。具体的には、以下の資料の「P.168~193」を確認してください。
 
参照:衛生・品質水準の確保
 

「Measurement(計測)」or「検査(Measure)」について

「Measurement(計測)」は、製品品質の測定や原材料の測量、エラー検知など、製造にかかわるすべての計測方法を指しています。衛生・品質水準を確保するための取組ができているか否か、それらに改善が必要か否かなどを判定するために重要とされています。
 
製品の品質を安定させるためには、各種計測が必要です。例えば、分量を間違える、規格に合わない材料を使うなどの事態が発生すると、製品の製造に失敗します。また、製品の識別が不確実の場合、検査で不良品を見逃してしまう可能性もあります。
 
正しい計測・検査をするためには、正しい手順書の作成、装置・器具の用意は当然として、検査員の技術向上なども重要になります。なお、具体的な検査項目などについては、以下の資料「P.194~201」を確認してください。
 
参照:衛生・品質水準の確保
 

「Environment(環境)」について

「Environment(環境)」は、製造環境に関係するすべての条件のことを指しています。例えば、工場や倉庫の立地によって、そ族・昆虫などの施設内への侵入や、その他の環境に起因する汚染などの危険性は大きく変わります。また、製造現場の環境についても、温度、湿度、気圧などの条件が悪いと、品質管理もままなりません。換気不良や空調設備の能力不足によるカビの発生、設備を起因とする異物の混入、虫食いなどの問題を引き起こします。当然、これらの被害が生じれば、製品の品質は悪くなり、製造に大きな影響を与えます。
 
さらに、製造現場の環境は、そこで作業する従業員にも大きな影響を与えます。寒い現場であれば、手がかじかむなどの理由から、作業の精密性が失われます。その逆に、暑すぎる環境は、熱中症リスクが高くなるなど、生産性や品質を低下させる大きな要因となってしまうでしょう。
 
環境による問題を解決するためには、製造する製品はもちろん、そこで働く人にとっても、適した施設・環境作りが重要とされています。施設や立地、環境に関する具体的な対策については、以下の資料を確認してください。
 
参照:製造・加工の施設・環境(Environment)
 

まとめ

今回は、工場や倉庫の衛生・品質水準を確保するためにおさえておかなければならないポイントについて解説しました。
 
製品の品質に影響を与える要因は多岐にわたります。工場や倉庫の衛生、品質水準を確保するためには、全てのポイントについて適切な対策を施す必要があります。
 
すでに、衛生レベルの高い工場や倉庫というのは、上記の変動要因について、的確な分析を行い必要な対策を行っている施設と言えるでしょう。
 
もちろん、工場や倉庫の衛生レベルについては、顧客によって求められる基準が違うため、企業ごとに必要な要素を検討し、自社に合わせた対策を意識するようにしましょう。
 
工場・倉庫の衛生レベル向上を目的とした改修工事も実績豊富な三和建設にご相談ください。
 

この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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