少子高齢化が進む日本では、さまざまな業界で労働力不足が深刻化しています。特に、工場などの製造業界や倉庫を始めとした物流業界では、若者人材の採用活動に苦戦する企業が多いです。
それでは、製造・物流業界の企業が優秀な人材を確保するためにはどのような工夫が必要になるのでしょうか?もちろん、労働条件や給与面の改善なども求められる条件の一つですが、多くの働き手は「より良い職場環境」を求めています。工場や倉庫内の環境や設備の更新は、従業員の働きやすさややりがいに直結するポイントの一つなので、この部分の改善は採用活動にプラスの効果をもたらせてくれます。
そこで当記事では、工場・倉庫の採用強化を実現するため、求職者が企業に求める職場環境と、それを実現するためのリニューアルのポイントを解説します。
Contents
求職者が工場や倉庫に求める職場環境
製造業界や物流業界では、人手不足が恒常化しています。この問題の背景には、年々深刻化していると言われる少子高齢化に伴う労働力不足も大きな要因の一つですが、工場や倉庫の仕事に対して「3K(きつい・汚い・危険)」というネガティブなイメージが根付いていることも影響を与えていると考えられます。
したがって、製造・物流企業は、新たな人材の確保はもちろん、従業員の定着率向上を目指す場合、人材の育成や働き方改革に並行して、より魅力的で働きやすい職場環境作りに取り組む必要があります。
それでは、求職者が製造・物流企業を選ぶ際に求める職場環境とはどのような条件なのでしょうか?自社の採用強化のため、工場、倉庫の改修を考える際の参考にしてください。
作業の安全性
求職者にとっては、働く環境が「安全かどうか?」は非常に重要なポイントになります。工場や倉庫での勤務は、事故予防対策や安全装置の設置などが十分に行われ、従業員が安全にストレスなく働ける環境が構築されているかを見直しましょう。
また、日々の安全だけでなく、災害時の対策としてBCP対策を行っているかなどもアピールに繋がります。
作業場所の快適性
工場や倉庫での作業は「過酷」というイメージもあり敬遠されることがあります。求職者は、安全に作業できることに加え、「快適に働けるか?」というポイントも重視します。
工場や倉庫の快適性については、施設内が清潔であることに加え、作業に適切な温度・湿度・照度が保たれているなど、作業のしやすさなどが含まれます。
食品工場や冷蔵倉庫などでの作業の場合は取り扱う製品の品質維持のために、熱い環境や寒い環境での作業が必要になることもあります。また、食品や薬品を扱う場合は、強い臭いがないかなども気になるようです。
先進的な設備や専門技術
特に工場に当てはまりますが、求職者は、最新の技術や先進的な設備を持つ作業現場に魅力を感じるようです。
求職者の中には、自分の専門分野におけるスキルや知識を生かしたいと考えている人も多く、そういった方は今後のキャリア成長が見込める最新技術に触れることができるのかを重視する傾向があると言えます。
環境問題への取り組み
昨今の採用活動では、企業の価値観や社会的責任への取り組み方が注目されるようになっています。求職者はもちろん、現役で働く従業員なども、企業のブランドイメージに着目する人が多くなっています。
例えば、工場や倉庫が行っている、環境に配慮した持続可能な取り組みなどは、求職者にとっても魅力的な職場に感じるポイントになるようです。
工場・倉庫が採用強化をするためのリニューアルポイントについて
ここからは、採用強化を目的に工場や倉庫のリニューアルを検討した時、どのような点に注意すれば良いのかについて解説していきます。求職者が何を求めているのかを理解すれば、自ずと施設の中でどの部分を改修すれば良いのかがわかるはずです。
ここでは、求職者目線で考えた時、工場や倉庫に必要だと考える機能性などについて解説します。
作業場所の安全性を強化
従業員が安全に働ける環境は、工場・倉庫の設計段階からさまざまな危険性を考慮し、リスクを最小化できる設計を行っているはずです。しかし、施設の築年数が経過すると、当初施していた安全対策に不備が生じている可能性もあります。したがって、リニューアル時には以下のようなポイントを再確認すると良いでしょう。
- 歩廊、防護柵(安全柵)、手摺設置工事などによる落下防止対策を施す
- 挟まれ・巻き込まれ防止のため、設備の形状に合わせた安全カバー設置や危険エリアへの侵入を防ぐ安全柵の設置
- 防滑塗床工事などによる転倒防止対策
- 安全通路の確保
- 耐震シェルターの設置など、急な地震が来ても安全性を確保する
- 危険性が高い作業の自動化
快適な労働環境を作る
工場や倉庫の労働環境は、夏は暑く冬は寒い、騒音に悩まされる可能性があるなど、「従業員にとっては過酷なのではないか…」というネガティブなイメージが強いです。したがって、採用強化を目指すのであれば、快適な労働環境を構築することが大切です。例えば、以下のようなポイントを重視して施設の改修を行うと良いでしょう。
- 働きやすい環境を維持するため、空調の最適化や施設の断熱化などにより温度・湿度管理を行えるようにする
- 施設内の照明をLEDに交換するなど、作業に合わせて適切な照度環境を作る
- 大きな音が生じる機械・設備は、防音ボックスを設置するなど、騒音対策を行う
- 冷蔵庫内の作業など、過酷な作業は自動化する
- 臭気対策を行う(近隣への配慮だけでなく施設内でもなるべく臭いが充満しない設計にする)
- 自動搬送ロボットなど、最新テクノロジーの導入(省人化対策にも有効)
休息スペースを充実させる
工場や倉庫の採用強化対策では、快適な休憩スペースの構築が非常に有効です。食堂や休憩室、トイレなどについて、清潔で快適な空間に整えることは、職場の雰囲気を明るくするだけでなく、従業員同士のコミュニケーションを円滑化させることで、早期の離職を防止する対策としても有効に働きます。
特に、製造・物流業界では、人手不足解消を目的に、女性の採用を活発化させている企業が増えていますが、更衣室、トイレ、パウダールームなどの充実、配置場所の配慮などは、女性求職者にとっては魅力的に映るはずです。労働人口の減少が深刻化する中、女性従業員がストレスなく働ける環境の構築は、工場・倉庫の採用強化には必須と考えられます。
環境への配慮など、企業イメージの向上
工場や倉庫のリニューアル時に、再生可能エネルギーの活用など、環境に配慮する対策を取り入れることは、採用強化対策にも有効に働きます。地球温暖化などさまざまな環境問題への取り組みは、企業が社会的責任を果たすための重要な要素の一つとみなされるようになっていますので、求職者からの企業イメージの向上に大きく貢献してくれるでしょう。
この他にも、工場や倉庫の建物そのものにデザイン性を付加することは、企業のブランドイメージを向上させ、採用強化につながると期待できます。築年数が経過して、さまざまな部分の劣化が表面化した施設と、最先端のデザイン性が付加された綺麗な施設であれば、誰でも後者の企業に対して「ここで働いてみたい」と思わせることでしょう。工場や倉庫に高いデザイン性を取り入れることは、求職者に対して魅力的な職場を提供するだけでなく、既存従業員のモチベーションアップにも役立ち、早期の離職防止対策にも有効です。
まとめ
今回は、工場や倉庫の採用強化を実現するためのリニューアルポイントについて解説しました。記事内でご紹介したように、製造業界や物流業界は、「過酷な作業環境」「仕事がきつい」などといったネガティブなイメージを持たれていることが要因で、採用に苦戦する企業が多くなっています。
少子高齢化による労働人口の減少が深刻化する昨今、工場・倉庫を運営する企業が優秀な人材を確保するためには、そこで働く従業員の立場に立ち、より働きやすい環境を構築するため対策を打つ必要があると言えるでしょう。特に近年では、製造・物流業界でも女性の活躍が重要とされるようになっていますし、清潔な作業スペースはもちろん、休憩室(パウダールーム)や食堂、更衣室、トイレなどにも目を向け、誰もが快適と思える環境を作ることが採用強化につながるのではないでしょうか。そうすることで、3Kのイメージを払拭し、同業他社との差別化を図りましょう。
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1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任
改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。
施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者